どこがゴールかわからないけど、前へ前へ繋げていく

KOUJIROU TERADA

株式会社 WoodHome
代表取締役 寺田康次郎

WoodHomeの代表を務める寺田氏は、15歳で大工の道を選んだ。 職人から経営者となった今もなおアップデートを怠らず、 自身に携わる周囲の人たちへの敬意を忘れない。

Photos 大山雄大 Yudai Oyama
Styling, Hair&Make-up 足立詠美 Emi Adachi
Words 浅野晶 Akira Asano

手に職を、より上を目指したい

どんな会社なのか教えてください

15歳で大工の世界に入りました。祖父が大工だったのです。当時住んでいた実家は、祖父が建てたということもあって、僕も手に職をつけたいと考えました 。
あるとき、大工仲間と地域に根ざした会社を立ち上げました。大手建設会社の下請けとして順調にお仕事をいただいていたのですが、私は現状維持でなく上を目指したかった。会社を引き継ぐ形で、自分で設立したのが第2のスタートです。木造建築を得意としていたこともあり、「WoodHome」という社名にしました。木の家は、比較的新築リフォームの自由がききやすいですし、低予算で建てられます。木は熱や湿度を調整してくれる性質があって、人に馴染みやすいんです。

現状維持にとどまるな

上を目指したかった、とはどういうお考えですか?

世の中は常にアップデートしているので、同じことを繰り返すことは、現状維持ではなく相対的に下がっていく一方なのです。だから、いつもアンテナを張って、新しいことをやっていかないと。どこかで「これでいい」と立ち止まって、利益を得てしまったらそこで終わりです。人とのご縁をつなげていくことによって、さらに新しい何かが生まれてくるのです。

10回失敗したらその先はプラスに転じるかもしれない

新しいことへの挑戦は怖くないですか?

1回目で失敗して諦めたら、それは失敗になるんです。でも10回挑戦すればプラスに転じるかもしれない。粘り強く改善していくというのが大事だと思っています。失敗や成功にとらわれずにとにかく、続けていくこと。どこがゴールかわからないけど前へ前へ繋げていく。挑戦がなければ業者も集まらないし、次の新しいこともできないですね。最初に手掛けた案件がアパートだったんですけど、今また、アパート建築に戻ってきているんですよ。回り回ってきているんですね。

プロとして協力しあえる仲間

続けてきて変わってきたことは?

一緒に協力して建物を建ててくれる業者がいっぱい増えたことですね。みんな協力的でいい人ばかり。だから続けられているし、新しいことにもチャレンジできると思っています。以前は友達の業者に、よしみでお願いしていたけど、慣れ合いではダメだと気づいて、仕切り直しました。お互い、プロとしてのプライドを持って取り組まないと続かないです。年齢層の若返りもしました。こちらが「安くしてください」って言っているにも関わらず、「それでも寺田さんと一緒にやりたい」と言ってくれています。それは、僕がいつも新しいことをしていくのが、面白いんじゃないかな。勉強になりますしね。慢心しないということは自分にとっても仲間にとっても大事ですね。

職人にもお客様にも誠意を

人とのかかわりで大事にしていることは?

裏切らない…人のせいにしないということです。お客様に対して、そして職人に対してもです。もしお客様からご不満が挙がった時、条件反射的に「お金をいただくお客様がすべて」という姿勢になりがちですが、それでは職人への敬意がありません。職人の立場も守りながら、お客様との間で、双方に納得していただけるように平等に立ち回ります。取引業者には、僕に対してちゃんとしようと思ってくれたらいい。お客様はもちろん、一緒に建ててくれている協力業者にも誠意を尽くしたいです。

孤独を支えてくれる存在

習慣にしていることはありますか?

うーん、なんでしょうね、なんかありますかね。ピンチやったらメンタルやられますね。その時は嫁さんに相談しますね 。やっぱり仲間には弱音は吐けないから、その孤独を支えてくれるのが嫁さん。経理の手伝いや外国人実習生の受け入れをしてくれていますが、なくてはならない存在です。自分は考え込むタイプなので。どうしようかなと思っている時、「なるようにしかならない。そんなこと言ってもしょうがない」調子良くどんどん進めていく時は「調子乗りすぎ!もうちょっと考えたら?」と手綱を引いてくれています。経営の右腕としても、サポーターとしても、とても感謝しています。

経営者としての覚悟

職人から経営者となって変わったことは?

そうですね…やっぱり、人柄じゃないですかね。大工さんは一人でどうにでもなりますから、埼玉、名古屋、京都など、気ままに転々としていました。一生懸命勉強をして一級建築施工管理技術検定を取得した時には、やればできるんだなと自信になりました。経営者になって、事業を継続していくことや取引業者の存在を考えると、わがままではダメだと。だから性格はちょっと丸くなったと思いますよ。

誘えば集まるゴルフは健康にいいから

休みの日は何をしていますか?

休みはあまり決まっていないので、基本的に仕事優先ですね。仕事仲間を誘ってゴルフにはいきますね。18ホールを回ると15,000歩ぐらい歩けるから健康にいいんですよ。昔は、少年野球はやっていたけど、しんどいわ。ゴルフは走らなくていいのでね。時間ができたら、ひたすら打ちっぱなしに行っていますよ。

自分の経験がすべて

座右の銘や影響を受けた言葉はありますか?

基本的に人の意見を聞かないです。本も、人から勧められても読まない。知識があっても自分で考えて実践しなければ意味がないと思うからです。それなら経験して失敗したほうが学べます。損した経験ってすごく大事なんです。めちゃめちゃ成功した人の話とめちゃめちゃ失敗した人の話は有意義ですね。どう失敗してどう転換したのか、なぜ今も生きられているのかが知れます。自分の経験がすべて。人の意見に流されるのがイヤ。先入観は持ちたくないから捨てます。

寺田 康次郎

てらだ こうじろう

1976年6月9日京都府生まれ。祖父の影響により15歳で大工の道へ、木造アパートをはじめとする建築現場に携わる。仲間とともに個人事業主として寺田工務店を始める。大手建設会社の取引先として順調に実績を重ねるも、さらなる成長を求めて2009年に株式会社WoodHomeを設立。独自の構造設計と施工技術は多くの好評を得る。そのたゆまぬ向上心と人間性に魅了され、慕う取引業者は後を絶たない。

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