お客様の倖せのお手伝いをしたい

TSUTOMU SAITO

レイバーランド有限会社
代表取締役 齋藤 勉

会社、家族ともに和気あいあい、順風満帆の齋藤社長。
彼は現在に至るまでに、経営不振や離婚という困難を経験している。
人生のどん底から、どのように立ち直れたのか?
「家族の倖せ」を最も大切にするのはなぜか?
そこには齋藤社長の、溢れるような想いが存在する。

Photos 大山雄大 Yudai Oyama
Styling, Hair&Make-up 足立詠美 Emi Adachi
Words 浅野晶 Akira Asano

お客様とそのご家族が倖せか?

事業について教えてください

弊社は不動産に関するあらゆる事業(売買・賃貸・仲介・管理・リースバック 他)を行いますが、大事にしているのは「どうすれば目の前のお客様とそのご家族の倖せに貢献できるのか?」ということ。その課題の先に不動産を買う、売る、貸すといった手段があります。

まず、ご家庭や生い立ちのお話しを聴かせていただいた上で不動産の話を致します。お客様から売買のご要望を頂いても、それにより夫婦、親子、家族が倖せの方向に向かわないのであれば、不動産の売買などを勧めません。そこに会社の利益は考えないのです。

ご縁の方の倖せを願い、倖せに貢献すること

会社の利益よりも、お客様の倖せが先なのですね。

弊社は営業担当の給与は歩合制を採用しておりません。歩合制というのは営業マンのやる気に繋がる制度ではあるのですが、時にはお客様ではなく自己の利益を優先した行動を取り兼ねない制度でもあります。お客様の条件をお聞きした上で、そのお客様にとって最良の物件をお勧めすることが我々プロの仕事であると考えております。場合によってはお客様に胸を張って『今は売買をやめておきましょう』とお伝えすることもあります。そのようなことから人生相談をお受けすることも多いですよ。

経営に苦労し、試行錯誤を繰り返しましたが、今になってわかることは「ご縁の方の倖せを願い、倖せに貢献すること」。これに尽きますね。

ターニングポイントは、父への感謝

そのようなお考えに至ったきっかけは何ですか?

会社創設以来、経営が回らず、夜は飲み屋のマスターをし、5年ほど不眠不休で倒れながら働いていました。離婚もして人生どん底の頃、藁をもすがる思いで人に相談しました。どうすれば仕事が好転するかを聞きましたら、家庭を見直して家族に感謝の気持ちを言葉と態度で現してみたらどうかとお話し頂きました。「そんなことでうまくいくわけがない…!?」その時はピンとこなかったのですが、やってみようと思いました。気付けば私は父と5年間も口をきいておらず、当時沖縄に住んでいた父に毎週のように手紙を書きました。考えてみると、五体満足に生んでもらって感謝できることは山のようにありましたね。父は10年前に他界しましたが、最後は「お前のおかげで倖せや、倖せや」と言ってくれました。

感謝の心は「育てる」もの

感謝の心が仕事に繋がったのでしょうか。

人はすぐ不平不満を言いがちです。私も昔はそういう人間で心の使い方が貧しく、とにかく自分が儲けたいと考えていました。貧しい心だと貧しくなるのです。目の前の方の喜びを考えて行動していくうちに、だんだんとその心が育ってまいりました。豊かな感謝の心は、親を想うだけで胸が熱くなって涙があふれてくるような心かなと思っています。

今では、一日のありがたいことを日記に綴り続けて20年ほどになります。そして社員とパートさんには、感謝の気持ちを綴った手書きメッセージを添えてお給料を渡しています。逆の立場だったら嬉しいかな、と考えてね。支えてくれた人たちと社員のおかげで事業は黒字が続き、昨年は過去最高利益になりました。

社員も私の家族

社員の方たちとはどのような関わりですか?

もともと2人で始めた会社に、事務員を紹介で採用して以降は、弊社に入社したいとおっしゃる方に来ていただき今に至っています。社員も社員の家族も私の家族と思っております。ですから人を雇うことはとても慎重に考えますし、ものすごくプレッシャーになります。いまだにそうです。今はゲストハウス(宿泊施設)の運営管理のためにパートさんが増えておりますが、安易には雇えません。社員とは、同じ方向を向くことを大事にしています。小さな事務所で肩寄せあって仕事をしていますが、これがいいのかなと思っています。

明るく前向きな人に良い人は集まってくる

どうしてレイバーランドで働きたいと言われるのでしょうか?

辛いとき苦しいときもいつも明るく前向きだからだと思います。自分の状態の良し悪しは関係なく、つとめて笑顔で。家でも会社でもね。毎週月曜に、全員集まって社訓である「喜びと感謝の心を日々育て、明るく前向きに、和する心をもって笑顔で頑張ろう!」を唱和しています。けっして驕ることなく謙虚で感謝の心を忘れずにいると、波はあれど息の長い仕事ができるのではないかと思います。人もお金も情報も、明るく前向きな人に集まってくるようです。会社を大きくすることも私の立場では大事かもしれませんが、大切にしているのは自己と社員の心をどれだけ育てるかということです。今の気持ちを忘れず、この心を持ち続けていきたいです。

家族を最も優先すること

社員の方たちによく話していることは?

「家族を大切にしなさい」と伝えます。社員のご家族になにかあったとき、熱を出したとき、介護するとき、授業参観、学校行事は、会社を休みなさい、と言います。私たちのベースは家族です。“おかげさま”を辿れば、最後は両親に行きつくのです。自分の誕生日や結婚記念日には親に手紙を書くことを、社員に勧めています。

私自身は、妻を最も大切にしているつもりです。感謝やねぎらい、褒めることはどんどんします。先日の誕生日には、サプライズとして妻の好きなところ100個を書いたものをプレゼントしました。たいそう喜んでくれました。

今があるのは妻のおかげ。両親への感謝。

身近な方をとても大切にされているのですね。

今の会社があるのはいろんな方からの支えですが、一番は妻のおかげだと思っています。彼女はいつも前向きでこだわりがありません。いつも私に笑顔で『ハイ』と返事をし、そして私を主人として立ててくれます。また私の父母と仲良くしてくれます。そうすると私は仕事に専念することができます。妻のお蔭で両親も倖せをもらえたと思います。

よく私のようなバツイチで食べていけないような男と結婚してくれたなと思います。妻には感謝しかありません。また、妻の両親から嫁に出してよかったと言われる夫になりたいと思いました。今でも結婚記念日には、妻の両親にお菓子を添えて感謝の手紙を渡しています。

私の父は他界しましたが、今も感謝の気持ちは捧げています。自分の誕生日には毎年必ず感謝の手紙を書き仏壇に供えます。手紙には、「私をこの世に生み育てて頂き有難うございます。私はお父様お母様の子どもで倖せです。」と書き締めくくるようにしております。

母は京都市内に住んでおり、普段はヘルパーさんにお願いして、ヘルパーさんに出来ないことを子である私がします。毎日のように母宅へ行き、笑顔で挨拶や会話をし、不自由になった足をさすっております。心を通わせる会話とスキンシップ、これは身内でなければできません。

人と人が関わることで、倖せは広がっていく

夢は何ですか?

家族、社員やその家族、周りの方々が少しでも倖せになっていくことです。これは無限だと思います。人の倖せのお手伝いをさせて頂き、これが10人100人と増えていきますと、私の倖せは一層大きなものへとなります。きっと無限に広がる可能性があり、自分だけの倖せを求めるより楽しく嬉しくなります。

現在高校2年の長女の名前は「倖子」としました。倖せがどんどん広がっていったらいいな、という思いを込め名付けました。

心と体は一対です

明るく前向きな状態を保つ習慣は?

前向きになるには、心を動かすことです。どんな時でもポジティブな考えと言動に努めております。ピンチな時こそ必ずチャンスを見つけられると思っております。心が動かないときは体を動かします。朝早く起き歩いたり自転車に乗ったりして、とにかく体を動かします。すると一日の調子が良いですよ。本来朝は大の苦手だったのですが、頑張って毎朝早起きをしております。朝に体を動かすと本当に気持ちが変わり、沈んだ心がはずみ前向きな気持ちが芽生えてきます。

この世で一番大事なのは、妻

宝物は何ですか?

…なんでしょうかねぇ、ご縁でしょうね。小学校・中学校の友人から始まり、社員やお客様、お取引業者様、そして毎日のように初めての方との出会いがあります。そのような方と膝を突き合わせ本音で話をしたり、自分の素性などを話し合ったりすると、ご縁を感じる方が自分の周りには多いことに気付かされます。それ故にご縁は大切にしようと日頃より心掛けております。ご縁はどこまでも繋がっていきます。従いまして宝物は『ご縁』です。

家族(社員・社員の家族も含む)は本当に大事です。家族がいてくれるから頑張ることが出来ます。家族の中でも、私と同じ時代を生き、いつも私を支えてくれる妻が最も大切な人です。私は妻の為なら何でも出来ますよ。

齋藤 勉

さいとう つとむ

1961年8月23日京都府生まれ。平安中学・高校時代は野球と勉学に励み、龍谷大学在学中にはテニスサークルを創設。不動産会社に就職、32才の時に会社を立ち上げるも経営不振、離婚を経験。家族との関わりの大切さに気づき、心のあり方を見直す。以降、経営は順調に回復。周囲の信頼は厚く、人生相談に応じることも多い。現在は再婚し、3男1女の子を持つ父親でもある。

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