松浦 ： 当初、実はマンションを予定して工事を進めていたのです。完成３か月前に河原さんから「ホテルにしたい」と申し出があり驚きましたね。

巖 ： 私はだいぶ反対しました。宿泊施設にするにはリスクが大きいと、何度も説得しました。でも河原さんの意志は固かった。

松浦 ： 住居にすれば黙っていても入る大人気の地域です。工事も１か月ぐらい止まりましたが、その間ずっと「ほんまにするんですか？！」って聞いていましたね。それでも熱意は変わらなかった。追加費用を払ってでもやるというほど迷いがなかったですね。急遽届け出を変更し、路線変更して再開です。とくに消防設備が大きく変わりますから、天井高を上げたり。巖社長の企画力はすばらしかったですね。

巖 ： 河原さんの想いと理想はとても高くて「ほかにないゲストハウスにしたい」とビジョンがおありでしたので、「何を目的とした宿泊施設か？」から、じっくり話し合いました。駅前や目抜き通りの立地なら短期滞在でも予約が入りますが、ここでは長期滞在でリピーターを呼ばなければ採算が厳しくなる。念には念をいれて想定をし、三者で課題を出し合い、議論しながら作っていきました。当時、京都で建設が増えていたのはワンルームマンションを改造したようなホテル。ここは建設予定だったファミリータイプが功を奏して、通常の大きさのキッチンやお風呂がついた、コンドミニアムのように長期間くつろげる施設になりました。運営に関しても、他にないものを実現しようと、フォークひとつとってもコストを押さえながらこだわってみんなで考えました。

松浦 ： 事業でみれば、通常の宿泊施設なら部屋数を多くとりますが、もともと2DKという空間を贅沢に使った、滞在できるゲストハウスになりましたね。私には経験のない内装とカラーリングで、和の中でもモダンな仕上がり。携わらせていただいてとても楽しかったです。大変なこともありましたけどね。

巖 ： パワーがありますね。ダイナミック！「あかんかったらやめたらええやん」と決めていける。あとは図面を見れば、頭の中で３Dイメージが描ける人なので、話が早かったです。

松浦 ： ぶれないですね。経験豊富な巖社長がどれだけリスクを説明しても「やります」と、もう決めていましたから。

巖 ： 彼女のパワーでしょうね。そしてマメです。社員さんや人づきあいを大事にされています。お客様へのちょっとした気遣いも考えながらできる人です。お花をちょっと置いておくとかね。基本ダイナミックですけど、こまやかなところがありますね。

巖 ： 公共工事を中心に総合的に建設しています。

松浦 ： 普段、私は農協の支店や倉庫、施設、農家さんのお家やマンション建設が主です。巖社長とは修行の身の時分から約25年のお付き合いですが、高い品質と誰も思いつかないような企画力をお持ちです。通常、要望を反映していくとコストが膨らんでいきますが、そこをくぐりながら非常に難しい課題もクリアされるので、多方面から支持されているのだと思います。出逢った時は貫禄があって、５歳しか変わらないのに、眼光鋭くて怖かったですけど（笑）

巖 ： 松浦さんはだいたいイメージが通じているので、言わなくても私が求めていることを先にやってくれて、仕事が速いですよ。私は仕事も施工も独自だと言われるので大変だと思いますが、そのあたりを理解してくれています。 松浦 ： どう独自なのかというと、例えば材料でも、ローコストなものの使い方が上手でおもしろい。通常私たちが企画することなのですが、社長みずから発想してくれて、実装してみるとこれが意外に良いのです。勉強になります。

巖 ： 外観、フロントはだいたい私のイメージですね。フォーシスターズレジデンスでフロントの床材を決めた時は、河原さんは迷っておられましたね。大丈夫かな？このデザイン、と。「あかんかったら貼り直してあげるから、貼ってみよう」とやってみたら、良かった。イメージカラーの紫の色が映えているんです。もう河原さんには次の構想がおありのようですね。ちゃんと石橋を叩いていきなさいよと言っています（笑） 先輩としてね。がんばってもらいたいです。